検査の自動化を通して、
自動車の品質を守るという役割。

車両品質技術部は、日産ブランドの価値向上というビジョンのもと、どんなクルマに対しても検査員のスキルに頼らずに安定した検出力や判定力を維持できるよう、検査自動化やデータの活用を進めています。どんなに良いクルマをつくっても、不具合品が流出すればお客様のブランドイメージを損なうことになってしまう。日産ブランドを守るためにも、確かな検査体制の構築は非常に重要です。

私が入社した当時、日産では2017年9月に発覚した完成検査問題を受けて、コンプライアンスを守り品質を担保するための対策を進めている真っ最中でした。九州工場で完成車両の状態を監視して不適切な検査を無効にする仕組みや、検査結果を紙ではなくデジタル値として直接記録する設備の導入を推進。現在は日産テクニカルセンター勤務となり、品質保証における技術開発の推進を担当しています。今まで検査員が目視等で判定していた検査を、AIによる学習やルールベースによって自動で検査できるように装置の導入を行っているところです。

部品メーカーで培ってきた
生産技術と設計の経験が礎になった。

私が学生時代を過ごした大学では、ほとんどの先輩が自動車業界に就職していたこともあり、自然と地元で自動車部品メーカーの生産技術職に就きました。サンルーフを中心とした新製品のライン立ち上げを実施したほか、納入先である完成車メーカーの設計部署に3年間出向して車両の設計業務も経験。図面から治具・設備仕様の検討~導入を行い、試作の良品条件を見極めて量産における管理項目を定める生産技術と、そこで量産する車両のボデー機能部品の設計という両面に携わることができたことが非常に良い経験になったと感じています。

実は自動車業界に就職するまでは、クルマや製造業にあまり興味がなく、周囲と比較して熱量の違いに悩むこともありました。しかし、幅広い業務を経験したことで、「お客様にとってかけがえのない一台を届ける仕事なんだ」と感じるようになり、もっとエンドユーザーに近い完成車両に携わりたいという想いが強くなっていったんです。当時、30歳目前で結婚。人生設計について考えていくタイミングでもあったことから、転職を視野に入れるようになりました。

日産を支える重要な役割を担いながら、
充実のフォロー体制で生活も充実。

転職にあたっては、良品条件を見極め、量産のための管理項目を定める生産技術や設計、品質改善の経験を武器にしたいという想いがあり、そのころ品質保証部署の強化を行っていた日産と縁があって入社することに。当初は前職と同エリアの九州工場で装置導入を進めていましたが、将来的には地元を離れて首都圏で働きたいと考えていて、2021年に希望が叶ってテクニカルセンター勤務となりました。

前職と比べると、有給休暇や産休・育休の取得について、会社全体での理解があって活用しやすい環境です。周囲を見渡しても、同僚が男性女性関係なく育休を取得できていますし、上司を含めて会社全体のフォローが手厚いのがうれしいですね。私自身、入社後に娘が生まれ、最近ではマイホームも購入するなど、日産で重要な役割を担いながら自分の人生も充実できていると感じます。

かけがえのない一台を届けるため、
「日産の品質保証はどうあるべきか」を自ら考える。

新たな設備はすでに国内のいくつかの工場で検証や導入が進んでおり、順次展開をしていく予定です。人から機械へと検査を自動化する判定装置の導入は、安定した検出力・判定力の実現に貢献し、エンドユーザーにとってかけがえのない一台を、確かな品質のもとで届けることにつながります。一方で、装置を機能させるためには仕様変更などを踏まえて設定を見直し、AI学習したルールを調整する確かな運用が必要不可欠です。総合的な品質保証を実現するための技術開発はまだ道半ば。設備を導入して終わりではなく、長期的な目線で品質を担保していく必要があります。

日産は大きな会社ですが、個人の考えや意向を業務に活かすことができる環境です。私自身、リーダーの立場で“品質保証とはどうあるべきか”を自ら考えて道筋を立て、工程設計を含めた品質保証全体の戦略を推し進めてきました。まだまだやるべきことは多いですが、日産のブランドの価値を守り高めるために着実に取り組んでいきたいですね。