日用消費財の業界から、
自動車・耐久消費財のフィールドへ。

アメリカの大学を卒業後、現地の日用消費財メーカーへ入社し、プロダクトマーケティングやブランドマーケティングに従事していました。転職を考えたのは、日用消費財マーケティングに携って10年が経った頃。日用品は商品ライフサイクルが短いうえに、担当商品数と関連業務が多岐にわたり、ワークライフバランスを取りにくい状況でした。そこで、日用品とはライフサイクルの異なる耐久消費財を扱っていて、さらに、プロダクトマーケティング業務にフォーカスできる会社を探すようになりました。

日産に魅力を感じたのは、さまざまなバックグラウンドを持つ人たちが働いているうえ、マーケティング・セールス部門の分業化が進んでおり、ワークライフバランスを大切にできそうだったから。また、祖父が日産のディーラーに勤めていたので、家のクルマはいつも日産車でした。社名やブランドに愛着を感じていたことも入社理由の一つですね。

世界を跨いだマーケティングと
ブランド戦略を推進。

入社後、国内プロダクトマーケティング部門を経て、2年前からグローバルプロダクトマーケティングを担う現部門に所属。現部門では日産のブランド力向上と、担当車種のレベニューの最大化を究極の目標としています。具体的には、担当車種の新車投入時からライフエンドまでのマーケティング・ブランド戦略、車名の選定、宣伝広告に使用するクルマのカラー選定、ディーラー向けのインセンティブのガイドライン策定など。それぞれのモデルに対して、世界各国のリージョンマーケティング部門と協議・調整を重ねながらプランをつくり上げていきます。

日産では、広報、市場調査、コミュニケーション、セールス、ディーラーネットワークについては同じ部門でもチームが分かれているため、マーケティング業務に集中ができる環境です。ただし、分業化=縦割りで“隣の人が何をしているかわからない”というわけではありません。各チームのスペシャリストが連携できる体制やカルチャーがあり、お互いが最高のアウトプットを目指して協力し合える理想的な職場だと感じます。

中国初の『e-POWER』搭載車。
そのマーケティング戦略で得た成功体験。

国内からグローバル部門へ異動後、中国で初めてとなるe-POWER搭載車の担当になりました。日本国内では一定以上の認知を得ている『e-POWER』ですが、海外市場では販売実績はまだまだ成長途中。だからこそ、日産にとってメインマーケットの一つである中国では、必ず成功させなければなりません。そのため、上市におけるマーケティング戦略の策定に関しては、日本での成功事例と国外での課題に関する情報を入念に分析。国内担当時のディーラー研修での学びも参考にしつつ、開発部門や商品企画、広報など、さまざまな部門のメンバーやキーパーソンと何度も協議を重ね、中国市場への最適なアプローチ方法を検討していきました。

そうした取り組みの結果、無事発売をむかえることができました。今後の各地域でのマーケティング戦略につなげられる事例となり、私自身はもちろん、チーム・組織としても大きな成果が得られたプロジェクトといえます。

自動車のマーケティングに必要なのは、
未来のトレンドとお客様のニーズを正確に見極める力。

日用品業界から自動車業界に転職して重要だと感じるのは、いかに早く、そして正確に未来のお客様の動向やトレンドを見極めるかということです。自動車の場合、開発からリリースまでに、少なくとも5~6年の時間がかかります。つまり、商品のデザインや仕様、競争力に関しても5~6年先の未来を予測して決めていく必要があるわけです。1、2年のタームで商品コンセプトやマーケティング戦略を変更できる日用品とは異なるレベルで、未来のトレンドを正確かつ慎重に見極める力が求められます。

調査部や、各国にある現地のマーケティングチームと連携しつつ、5年後のお客様となる若い世代の方々の動向、マーケットの潮流、競合の動きなどを踏まえて主要なステークホルダーとディスカッションし、緻密なマーケティング戦略を検討していくことが必要です。予想の難しいチャレンジングな業務ではありますが、未来を見つめながら戦略を立てていく仕事の面白さにやりがいを感じています。